ジュリエットマシーン

　　　　　　　　　　　　　　足がある　私は踊る　星の春　足がなくても　星の夏　私は踊る　たまきわる　世界平和　戦士たち　愛　そんなもの守らない　愛は私の仕事じゃない　愛は知らない　あかねさす　あなたの前に


　　　　　　　　　　　　　　美しい機械のように　手をお出し　さあジュリエット　美しい表紙の本を　お取り　さあ　あざむきなさい　ためらうな　ほほえみなさい　ジュリエット　花の都の


　　　　　　　　　　　　　　花嫁よ　しばしまなこを閉じて　見よ　ましろの裾をよごす泥　川のよどみの暗やみを　花嫁よ　見よ　うつろさに　愛を歌うな　さみしさに　花を摘むな　おもたい裾をからげて　木にのぼり　まなこを閉じて　見よ　夜中出あるくものを


　　　　　　　　　　　　　　もう馬と呼んでください　やさしい人　もう眠らない　さようなら　やさしい心　さねかずら　ねむる都の地震【ない】だから　黒いマントを被いて駆ける

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川べりを歩いたりしない花なんか摘まないオフィーリアじゃない、わたしは

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こころざすことが死ならばまいりましょう。ロミオ、死神さん、わたしの

【　】内はルビ

ジュリエットマシーン／佐藤弓生
初出「詩の雑誌 midnight press」No.16（2002年夏）